2012/10/19
12:45:22
長野県建設業厚生年金基金が未公開株に投資をして運用し、損失を計上していたことが判明しました。NHKニュースに下記のような記事がありました。
『AIJ投資顧問による巨額詐欺事件で被害を受けた年金基金が、別の運用でも多額の損失を出していた問題。基金側が一部の業者と示し合わせ、年金の資金をリスクの高い未公開株で運用していた、ずさんな実態が明らかになってきました。
金融庁は、16日、基金から運用を委託されていた信託銀行など3社に対して、1か月から3か月間、一部の業務を停止するよう命じました。問われたのは、資産運用のプロとして、基金の“暴走”を止められなかった責任です。
<明らかになった多額の損失>
問題が明らかになったのは、長野県内の建設会社およそ370社の社員が加入する長野県建設業厚生年金基金です。この基金は、AIJ投資顧問の詐欺事件で預けていた65億円の大半を失っていますが、今回、別の運用でも多額の損失が出ていることが判明しました。金融庁によりますと、新たに40数億円の損失が出る見込みだということです。
多額の損失が出ている運用は、どのようなものだったのでしょうか。
金融庁や基金の関係者によりますと、運用が始まったのは8年前。ソシエテジェネラル信託銀行(東京・千代田区)とユナイテッド投信投資顧問(東京・中央区)、スタッツインベストメントマネジメント(東京・千代田区)の3社に運用を委託していました。
運用先は、国内外の企業の未公開株に投資するファンドでした。
未公開株は、投資先の企業が成長すれば、高い利益が期待できます。その一方で、企業の業績が伸びなければ、損失のおそれもあるリスクの高い金融商品です。
関係者によりますと、ファンドの投資先の企業は業績のよくないところが多く、基金が損失を回復する見込みはほとんどないということです。
<背景には基金側の不正が・・・>
こうしたリスクの高い投資は、基金側が主導して進めていたことが証券取引等監視委員会などの調査で分かってきました。
当時、基金の運用を取り仕切っていたのは、基金の元事務長の坂本芳信容疑者でした。元事務長は、基金から数千万円を横領した疑いで、去年、警察に指名手配され、今は行方が分かっていません。
金融庁によりますと、元事務長は、アール・ビーインベストメント・アンド・コンサルティング(東京・港区)という会社が運営する未公開株のファンドに投資するよう、運用を委託した信託銀行などに指示していたということです。
元事務長は、この会社と示し合わせ、投資先の企業の株が上場する見込みがないのに、「近い将来上場する」などとする運用報告書を作成させ、基金に提出させていたこともあったということです。
長野県警は、この会社が、元事務長と共謀して基金から9億円の資金をだまし取ったとして詐欺の疑いで、16日、会社の事務所を捜索しました。警察によりますと、現在、この会社の社長とは連絡が取れなくなっているということです。
<問われた“プロ”の責任>
こうした基金の“暴走”ともいえる、ずさんな運用は止めることができなかったのでしょうか。
運用を委託されていた信託銀行や投資運用会社は、基金の元事務長の求めに応じてファンドに投資していましたが、ファンドの運営会社の経営実態を調べるなどの確認はしていませんでした。
金融庁などは、信託銀行や投資運用会社といった資産運用のプロが、安全性が求められる年金資金の運用で最低限のチェックを怠ったことを重く見ました。16日、運用を委託された3社に対して、1か月から3か月間、一部の業務を停止するよう命じたのです。
また、ファンドの運営会社2社に対しても、運用などについて基金に事実と異なる報告をしていたとして警告を出しました。処分を受けた信託銀行など3社はいずれも、「処分を重く受け止め、信頼回復や業務の改善に努めたい」などとコメントしています。
<しわ寄せは加入者に・・・>
今回の運用による損失では、長野県建設業厚生年金基金に加入する会社や社員に新たな負担やしわ寄せが生じるおそれもあります。
基金に加入する長野市の建設会社で総務部長を務める男性は「大きな損失なので、退職後に年金をあてにしている従業員のことを考えると不安だ。資金を運用していた会社などにも責任をとってもらいたい」と話していました。
年金の問題に詳しい経済評論家の山崎元さんは「今回は、年金基金の暴走を投資運用会社が止められなかったことの責任が問われたと思う。
ただ、最大の問題は、基金の運用の管理が無責任でずさんだったということで、そういう状況を把握できなかったという点では基金を監督する厚生労働省の責任も重い。基金の運用ルールも含めて年金行政を見直す必要がある」と指摘しています。
厚生年金基金を巡っては、AIJによる詐欺事件をきっかけに、多くの基金が運用で損失を出している実態が明るみに出ました。』
厚生労働省は一連の事件を受けて、厚生年金基金を解散の方向ということのようですが、「現在代行割れしている基金をどうするのか?」、「現在年金をもらっている人は基金の解散により、年金額が減額される可能性が高いこと」などから最終の出口プランは決まっていない状況です。
ただし、はっきりと言えることは政府に任せておいても大丈夫という状況ではなく、自分の年金は自分で作るという意志がないとこれからの世代は悲惨な老後になるだろうということです。
『AIJ投資顧問による巨額詐欺事件で被害を受けた年金基金が、別の運用でも多額の損失を出していた問題。基金側が一部の業者と示し合わせ、年金の資金をリスクの高い未公開株で運用していた、ずさんな実態が明らかになってきました。
金融庁は、16日、基金から運用を委託されていた信託銀行など3社に対して、1か月から3か月間、一部の業務を停止するよう命じました。問われたのは、資産運用のプロとして、基金の“暴走”を止められなかった責任です。
<明らかになった多額の損失>
問題が明らかになったのは、長野県内の建設会社およそ370社の社員が加入する長野県建設業厚生年金基金です。この基金は、AIJ投資顧問の詐欺事件で預けていた65億円の大半を失っていますが、今回、別の運用でも多額の損失が出ていることが判明しました。金融庁によりますと、新たに40数億円の損失が出る見込みだということです。
多額の損失が出ている運用は、どのようなものだったのでしょうか。
金融庁や基金の関係者によりますと、運用が始まったのは8年前。ソシエテジェネラル信託銀行(東京・千代田区)とユナイテッド投信投資顧問(東京・中央区)、スタッツインベストメントマネジメント(東京・千代田区)の3社に運用を委託していました。
運用先は、国内外の企業の未公開株に投資するファンドでした。
未公開株は、投資先の企業が成長すれば、高い利益が期待できます。その一方で、企業の業績が伸びなければ、損失のおそれもあるリスクの高い金融商品です。
関係者によりますと、ファンドの投資先の企業は業績のよくないところが多く、基金が損失を回復する見込みはほとんどないということです。
<背景には基金側の不正が・・・>
こうしたリスクの高い投資は、基金側が主導して進めていたことが証券取引等監視委員会などの調査で分かってきました。
当時、基金の運用を取り仕切っていたのは、基金の元事務長の坂本芳信容疑者でした。元事務長は、基金から数千万円を横領した疑いで、去年、警察に指名手配され、今は行方が分かっていません。
金融庁によりますと、元事務長は、アール・ビーインベストメント・アンド・コンサルティング(東京・港区)という会社が運営する未公開株のファンドに投資するよう、運用を委託した信託銀行などに指示していたということです。
元事務長は、この会社と示し合わせ、投資先の企業の株が上場する見込みがないのに、「近い将来上場する」などとする運用報告書を作成させ、基金に提出させていたこともあったということです。
長野県警は、この会社が、元事務長と共謀して基金から9億円の資金をだまし取ったとして詐欺の疑いで、16日、会社の事務所を捜索しました。警察によりますと、現在、この会社の社長とは連絡が取れなくなっているということです。
<問われた“プロ”の責任>
こうした基金の“暴走”ともいえる、ずさんな運用は止めることができなかったのでしょうか。
運用を委託されていた信託銀行や投資運用会社は、基金の元事務長の求めに応じてファンドに投資していましたが、ファンドの運営会社の経営実態を調べるなどの確認はしていませんでした。
金融庁などは、信託銀行や投資運用会社といった資産運用のプロが、安全性が求められる年金資金の運用で最低限のチェックを怠ったことを重く見ました。16日、運用を委託された3社に対して、1か月から3か月間、一部の業務を停止するよう命じたのです。
また、ファンドの運営会社2社に対しても、運用などについて基金に事実と異なる報告をしていたとして警告を出しました。処分を受けた信託銀行など3社はいずれも、「処分を重く受け止め、信頼回復や業務の改善に努めたい」などとコメントしています。
<しわ寄せは加入者に・・・>
今回の運用による損失では、長野県建設業厚生年金基金に加入する会社や社員に新たな負担やしわ寄せが生じるおそれもあります。
基金に加入する長野市の建設会社で総務部長を務める男性は「大きな損失なので、退職後に年金をあてにしている従業員のことを考えると不安だ。資金を運用していた会社などにも責任をとってもらいたい」と話していました。
年金の問題に詳しい経済評論家の山崎元さんは「今回は、年金基金の暴走を投資運用会社が止められなかったことの責任が問われたと思う。
ただ、最大の問題は、基金の運用の管理が無責任でずさんだったということで、そういう状況を把握できなかったという点では基金を監督する厚生労働省の責任も重い。基金の運用ルールも含めて年金行政を見直す必要がある」と指摘しています。
厚生年金基金を巡っては、AIJによる詐欺事件をきっかけに、多くの基金が運用で損失を出している実態が明るみに出ました。』
厚生労働省は一連の事件を受けて、厚生年金基金を解散の方向ということのようですが、「現在代行割れしている基金をどうするのか?」、「現在年金をもらっている人は基金の解散により、年金額が減額される可能性が高いこと」などから最終の出口プランは決まっていない状況です。
ただし、はっきりと言えることは政府に任せておいても大丈夫という状況ではなく、自分の年金は自分で作るという意志がないとこれからの世代は悲惨な老後になるだろうということです。
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