2012/11/30
12:46:25
少し前に「海外投資」7つの方法・玉川陽介著という本を友人から頂きましたので読んでみました。副題が「99%の日本人は知らない勝者1%の超富裕層に学ぶ」というものです。
プライベートバンクについての内容やモナコに住まうなど自分の世界とは全く違うと感じる部分もありますが、自分でもできそうな内容の投資もありましたので、少しご紹介してみたいと思います。
著者が一番薦めていたのは、優先出資証券と劣後債という債券への投資です。
劣後債とは、普通社債と同じように銀行などが発行する社債の一種ですが、普通社債とは違い、発行する銀行が破産するなどして債務の返済が出来なくなった場合に、普通社債の債務を全て返し終わった後にようやく順位が回ってくるという、残余財産の支払いが劣後する債券です。
次に、優先出資証券ですが、これも劣後債と似た性質を持っています。
ただし、銀行が破綻した場合の残余財産の分配は劣後債よりも更に劣後しますので、万が一の時には元本の返還を全く期待できない証券です。
優先出資証券と劣後債は、普通社債と同じようにクーポンと呼ばれる金利を支払います。債券を発行している銀行が破綻しない限りは、あらかじめ決められた料率の利払いが、3ヶ月ごと、6ヶ月ごとなど、銘柄により定められた期間ごとになされます。
投資家からみれば、それが投資に期待するリターンとなります。
投資家は優先出資証券といえども、毎回必ず利払いがされることを期待していますので、利払いがスキップされると銀行の信用に大きく傷がつき、新聞にも悪評を書かれ、次回同種の債券を発行する時に買い手がつきにくくなります。
そのため、よほどのことがない限り、優先出資証券においても、利払いは当初の予定通りなされますが、銀行の経営が悪くなり、背に腹はかえられないという状況になった場合には、普通社債や劣後債よりも先に優先出資証券の利払いが止まると理解してよいとのことです。
また、銀行の発行する劣後債には、永久劣後債と期限付き劣後債があります。
永久劣後債というのは、永久に元本を返さないというもので、これでは投資をする人がいません。
そのため、こうした劣後債には、必ずコーラブル(繰り上げ償還が可能)という条件が付いています。実際には発行後5年(債券によっては7年、10年などあり)を経過した時点を初回コール日と言い、実際にはほぼ全ての永久劣後債が初回コール日で償還されるようです。
期限付き劣後債ですらも、あらかじめ定めた償還期限を待たずに、通常は償還期限を待たずに、通常は初回コール日に早期償還されています。これは優先出資証券も同じで、銀行側も投資家側も初回コール日に早期償還されることを期待しています。
しかしながら、どうしてこのような複雑な仕組みになっているのでしょうか?
実はこれらはBIS規制(バーゼル2)という、世界の銀行の過剰レバレッジを規制するルールを、うまくすり抜けるために作り出されたもののようです。
このバーゼル2により銀行は、自己資本比率を8%以上に維持することが求められています。 これを維持するために、分子に組み入れられる優先出資証券や劣後債を発行するのです。
普通株を発行しても分子は増えるのですが、通常普通株を増資するのは既発株の価値を希薄化するので、既存投資家には嫌がられるのです。そこで、編み出されたのが優先出資証券や劣後債で分子を増やすという作戦だったという訳です。
期限付き劣後債が期限を待たずに償還する理由も単純で、残存期間が5年を切り、返済期限が差し迫ってくると資本性が低くなったと見なされ、その劣後債の発行額の一部しか分子に入れることが許されなくなってくるため、途中で償還してしまうのです。
ただし、気をつけておくことは、バーゼル3ではこのような抜け道をふさぐように、中核的な自己資本を充足させることを銀行に義務づけることとなったのです。
本の序章に出ていた「みずほ銀行の優先出資証券で年利14.95%(米ドル建て)」というのはこのことだったのです。ただし、1つの金融機関の優先出資証券ではリスクが大きいという方にはETFもあるようです。
優先出資証券ETFというものがあり、これらはおおむね7%程度の分配金利回りを維持している商品が下記になるようです。
iShare S&P U.S. Preferred StockIndex(PFF):投資対象の75%は大手金融機関の優先出資証券で、200銘柄以上に分散
Power Share Financial Preferred(PGF):金融機関の発行する優先出資証券のみを対象
Power Share Preferred(PGX):PFFよりも分散が少ないが、PFFよりも利回りは若干高い
プライベートバンクについての内容やモナコに住まうなど自分の世界とは全く違うと感じる部分もありますが、自分でもできそうな内容の投資もありましたので、少しご紹介してみたいと思います。
著者が一番薦めていたのは、優先出資証券と劣後債という債券への投資です。
劣後債とは、普通社債と同じように銀行などが発行する社債の一種ですが、普通社債とは違い、発行する銀行が破産するなどして債務の返済が出来なくなった場合に、普通社債の債務を全て返し終わった後にようやく順位が回ってくるという、残余財産の支払いが劣後する債券です。
次に、優先出資証券ですが、これも劣後債と似た性質を持っています。
ただし、銀行が破綻した場合の残余財産の分配は劣後債よりも更に劣後しますので、万が一の時には元本の返還を全く期待できない証券です。
優先出資証券と劣後債は、普通社債と同じようにクーポンと呼ばれる金利を支払います。債券を発行している銀行が破綻しない限りは、あらかじめ決められた料率の利払いが、3ヶ月ごと、6ヶ月ごとなど、銘柄により定められた期間ごとになされます。
投資家からみれば、それが投資に期待するリターンとなります。
投資家は優先出資証券といえども、毎回必ず利払いがされることを期待していますので、利払いがスキップされると銀行の信用に大きく傷がつき、新聞にも悪評を書かれ、次回同種の債券を発行する時に買い手がつきにくくなります。
そのため、よほどのことがない限り、優先出資証券においても、利払いは当初の予定通りなされますが、銀行の経営が悪くなり、背に腹はかえられないという状況になった場合には、普通社債や劣後債よりも先に優先出資証券の利払いが止まると理解してよいとのことです。
また、銀行の発行する劣後債には、永久劣後債と期限付き劣後債があります。
永久劣後債というのは、永久に元本を返さないというもので、これでは投資をする人がいません。
そのため、こうした劣後債には、必ずコーラブル(繰り上げ償還が可能)という条件が付いています。実際には発行後5年(債券によっては7年、10年などあり)を経過した時点を初回コール日と言い、実際にはほぼ全ての永久劣後債が初回コール日で償還されるようです。
期限付き劣後債ですらも、あらかじめ定めた償還期限を待たずに、通常は償還期限を待たずに、通常は初回コール日に早期償還されています。これは優先出資証券も同じで、銀行側も投資家側も初回コール日に早期償還されることを期待しています。
しかしながら、どうしてこのような複雑な仕組みになっているのでしょうか?
実はこれらはBIS規制(バーゼル2)という、世界の銀行の過剰レバレッジを規制するルールを、うまくすり抜けるために作り出されたもののようです。
このバーゼル2により銀行は、自己資本比率を8%以上に維持することが求められています。 これを維持するために、分子に組み入れられる優先出資証券や劣後債を発行するのです。
普通株を発行しても分子は増えるのですが、通常普通株を増資するのは既発株の価値を希薄化するので、既存投資家には嫌がられるのです。そこで、編み出されたのが優先出資証券や劣後債で分子を増やすという作戦だったという訳です。
期限付き劣後債が期限を待たずに償還する理由も単純で、残存期間が5年を切り、返済期限が差し迫ってくると資本性が低くなったと見なされ、その劣後債の発行額の一部しか分子に入れることが許されなくなってくるため、途中で償還してしまうのです。
ただし、気をつけておくことは、バーゼル3ではこのような抜け道をふさぐように、中核的な自己資本を充足させることを銀行に義務づけることとなったのです。
本の序章に出ていた「みずほ銀行の優先出資証券で年利14.95%(米ドル建て)」というのはこのことだったのです。ただし、1つの金融機関の優先出資証券ではリスクが大きいという方にはETFもあるようです。
優先出資証券ETFというものがあり、これらはおおむね7%程度の分配金利回りを維持している商品が下記になるようです。
iShare S&P U.S. Preferred StockIndex(PFF):投資対象の75%は大手金融機関の優先出資証券で、200銘柄以上に分散
Power Share Financial Preferred(PGF):金融機関の発行する優先出資証券のみを対象
Power Share Preferred(PGX):PFFよりも分散が少ないが、PFFよりも利回りは若干高い
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