2014/01/08
12:56:18

正月休みの間に数冊の本を読みました。それらの中から幾つかのサマリーをご紹介していきたいと思っています。本日は「金融緩和で日本は破綻する」というタイトルの本で、野口悠紀雄氏が書いたものです。
皆さんもご存知のようにアベノミクスの財政・金融政策に警鐘を鳴らしている経済学者の一人です。
この中で日銀の国債引受のメカニズムのついて興味深いことが書かれています。
「日銀が銀行から国債を買い上げることが出来たのは利子率が低下してきたためである。つまり、銀行が国債を売却する理由はキャピタル・ゲインを得られるからである。その理由は金利が低下している(国債価格が上昇している)からである。
しかし、利子が上昇すると、国債売却は銀行にキャピタル・ロスをもたらすので、銀行は国債を売るかどうか分からない。つまりこれまで続けてきたオペレーションは、実行できなくなる可能性がある。」
上記の様な状況になると、国債を日銀が直接購入するという可能性(国会が決議すれば可能)も出てくるということのようです。
「もしそうしたことが起これば、インフレになる危険性がある。インフレが進行すれば、国債価格の実質価値は低下する。他方で、家計が保有する定期金利の実質価値は下落する。このようなメカニズムを通じて、家計から政府への所得移転が起こる。家計の消費が強制的に削減されることによって、マクロ的な経済のバランスが達成されるわけである。」
「つまり、インフレは税と同じ経済効果を発揮するのだ。このような事態が予測されると資産の海外逃避が起こる可能性がある。それは円安をもたらし、輸入インフレをもたらす。」
以前にもご紹介しました『国家は破綻するー金融危機の800年』(カーメン・M・ラインハート ケネス・S・ロゴフ)の本の中でも「国内債務が大きいとインフレになる」と書いているように、歴史上、財政赤字が一定の限度を超えた場合には、ほぼ例外なくインフレを引き起こしているとも指摘しています。
我々はインフレになる(政府も2%の上昇率にすると宣言しているので)という想定で対策を取る必要があると思います。
スポンサーサイト