2014/12/11
12:51:27

山崎 元氏の著書「全面改訂 超簡単 お金の運用術」を読みました。
内容的には、本当の初心者には少し難しいのかもしれませんが、基本的には具体的で分かりやすい内容です。一読に値すると思いました。
この本の特徴は、冒頭の部分に結論が書かれていることです。
その結論は以下のように書かれています。
<超簡単 お金の運用法>
1)当座の生活に必要なお金(生活費3ヶ月程度)を銀行の普通預金に置く。
2)残ったお金を、リスクをとっても良いと思う「リスク運用マネー」と、元本割れを想定せずに済む「無リスク運用マネー」に分割する。
この場合、「リスク運用マネー」は「無リスク運用マネーよりも平均すると5%利回りが高いが、最悪の場合、1年で1/3が失われる可能性がある」と考えて、好きな金額を割り当てる。
3)「リスク運用マネー」は、「TOPIX連動型上場投資信託(1306)」と「SMTグローバル株式インデックス・オープン」に半々に投資(コストの安価なネット証券を利用)をする。
4)「無リスク運用マネー」は、「個人向け国債(10年満期タイプ)」または、「MRF」で持つ。あるいは、一人一行1,000万円未満なら銀行預金で運用しても良い。(外貨預金はダメ、理由は為替手数料が高く、銀行間の金利よりも不利)
5)大きな支出の必要が生じたら、「リスク運用マネー」あるいは「無リスク運用マネー」のいずれかを「躊躇なく」部分解約してこれに充てる。
6)NISAおよび確定拠出年金を最大限利用する。
多少付け加えますと「相対的にはこれらよりも良い商品があるかもしれないが、まあまあベスト」ということでこれらの商品を選択したようです。
(自分的には)SMTグローバル株式インデックス・オープンの信託報酬が0.54%、それに対して上場インデックス世界株式(1554)の方は0.324%ですので、こちらの方が良いのではないか?という若干の意見の相違はありますが、基本的な路線は同意できるものです。
また、セールスマンから距離を取れ、コストの安価な証券会社を選択しろ・・・とまっとうなことが書かれています。
FXについては、お金を着実に増やすための「運用」には向かない。儲ける人の裏には必ず損する人がいるゼロサムゲームの世界で、競馬やカジノのようなギャンブルに近いとしています。FX参加者の7〜8割は損をしているのが普通で、「投資」ではなく、「投機」であるとも述べています。(そう思ってやるのは良い)
また、節税と利殖のためにマンションを購入することについても、注意が必要だと述べています。その理由は、基本的に売り手が熱心に売っているものは買ってもメリットがないことが多いというのです。自分も日本が人口減少社会に入った現時点で(国内の)不動産投資をすることには反対の立場です。
どうしても、不動産投資をしたいのであれば、REITにした方が、分散効果・流動性リスクの低減・手数料・税金などを考慮しますと賢明な選択だと思っています。
さらに、民間の生命保険・医療保険についても自分と同意見です。
「民間の保険会社が提供する生命保険のほとんどは、加入しない方が良い代物だ。”生命保険は不要だ”、とまずは考えよう。老若に関係ない。」
「いざという時に、頼るべき親も親戚もいない若い夫婦に子供が出来てしまったという場合に、残された妻子が次の生活を軌道に乗せるまでの備えとしてだけは生命保険の価値はある」というわけです。
民間の医療保険についても同様で、「5千円の医療費を1万円で買うようなもので不要である」ときっぱり否定しています。
最後に、「おわりに」からすこし引用して、まとめとしてみたいと思います。
「顧客側から見た損得をリアルに計算し、正しいと分かったことを書いた結果、手数料の高いアクティブ・ファンドはダメ、毎月分配型投資信託はもちろんダメ、銀行はNISA口座開設には不適当、生命保険はほとんどが不要、FP(ファイナンシャルプランナー)にも警戒が必要、など筆者の同業者も含めて、金融関係者にはビジネスに不都合な内容を多々お知らせすることにもなったが、これらは全て、広義の金融ビジネスのサービス水準の向上を願って書いたものだ。」
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