2015/03/25
12:40:55


今週の週刊ポストに『それでも「アベのベア」は99%のサラリーマンには「賃下げ」だった』という記事がありましたので、本日はこれを取り上げてみます。
今年も安倍首相の賃上げ要請に呼応して、大手企業が過去最高のベースアップを発表し、メディアがそれをあおり立てるということになっていますが、実態は違うということです。
これはどういったことかと言いますと、安倍政権の誕生以来、異次元緩和による円安政策で物価が上昇してきました。そのため、実際に使えるお金である実質賃金が今年1月まで19ヶ月連続でマイナスとなっています。実質賃金が上がらなければ、GDPの6割を占める個人消費は伸びず、景気が上向くことはないのです。
メディアはこうしたことは一切指摘せず、今年の大企業のベアを連日報道し、好景気ムードを盛り上げているというのです。
確かに、上がらないよりは上がった方が良いでしょう。しかし、物価上昇率を越えて上がらなければ、実際には使えるお金はどんどん減っていくのです。
埼玉学園大学教授の相澤氏は「物価が2〜3%上がっている状況下では、それに追いつく賃上げなど到底実現しません。大メディアなどは過去最高のベアと報じていますが、アベノミクスの恩恵を受けているはずの大企業でさえ、賃上げは物価上昇に追いつかず、従業員の実質賃金はマイナスとなっているのが実態です」と指摘しています。これがアベノミクスの現実なのです。
財務省と内閣府が3/12に発表した1〜3月期の法人企業景気予測調査では、大企業の景況感を示す景況判断指数(BSI)は1.9となり、「上昇」の回答が「下降」を3四半期連続で上回ったとされ、”景況感3期連続プラス 大企業1〜3月、設備投資も拡大”という見出しで新聞報道がなされていました。
しかしながら、中堅企業の1〜3月期のBSIはマイナス2.2と、プラスだった前期からマイナスに転じ、さらに中小企業はマイナス14.8となり、前期からマイナス幅が拡大したのです。日本の企業の99%は中小企業ですので、”景況判断はマイナスへ”と報道するべきだと思います。ここにも嘘が隠れているわけです。
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