2015/04/28
12:04:11

野口悠紀雄著書である「金融政策の死」を読みましたので、本日はサマリーを書いてみたいと思います。氏は以前より異次元緩和の効果に懐疑的で、このあたりは自分も同意見です。
本の中で”異次元緩和の真の目的は、財政ファイナンスだ”と指摘しています。
「異次元緩和政策によって日本経済が回復したと、多くの人が考えている。
しかし、異次元緩和措置はそうした効果を持たなかった。マネタリーベース(日銀当座金と日銀券の合計)は著しく増えたが、経済活動に影響を与えるはずのマネーストック(現金通貨と預金通貨の合計)がほとんど増えなかったからだ。
それは、銀行貸し出しが増えなかったからだ。この結果、日銀当座預金はほとんどが過剰準備になっている。このように異次元緩和措置は”空回り”している。
2013年の経済成長率が高くなったのは、金融緩和によるのではなく、公共事業が増えたことと、消費増税前の駆け込み需要で住宅投資が増えたためだ。」
「なお、12年の秋頃からの顕著な円安によって、輸出企業の利益が増加し、このために株価が上昇した。ただし、円安は日本の金融緩和の結果として生じたものではなく、ユーロ危機の沈静化による国際的な投資資金の流れの変化によってもたらされた。」
「では、何のために金融政策が行われているのだろうか? それは”市中から国債を買い上げること”それ自体のためだ。それによって金利高騰を防ぎ、政府の赤字財政を容易にするのだ。しかし、これは行ってはいけないとされている政策なのである。結局はインフレという形で負担が国民に押しつけられることになるからだ。」
上記のように金融緩和政策は効果がないばかりでなく、財政ファイナンスと同じで、行ってはならない政策だと警告しています。
今後の日本についてですが、「財政インフレだけでは日本は破壊されないだろうが、輸入インフレと円安の悪循環に陥れば、破壊される。生き残れるのは、資産を日本から持ち出した人だけだ。日本を否定しないと生き残れないというのは、日本人にとっても究極の悲劇である」とも述べています。
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