2015/05/05
12:16:56

昨日の日本経済新聞に「賃上げ 統計に表れず」という記事がありましたので、これを取り上げてみたいと思います。政府は”賃上げ要請”を各企業にしておりますが、統計を見てみると”賃上げ要請”効果はほとんどなかったとしています。
政府の目論見としては、2015年度は賃上げ効果で消費が強く押し上げられるのではないか?と思っているのでしょうけれど、どうもそうした状況になりそうもないと書いています。大本営発表記事を連発してきた日経新聞としては、久々にまっとうな記事とも言えます。
では、「なぜ賃上げが実現しないのか?」ということですが、一つには産業構造の変化があります。今までは賃金が高い製造業で働いていた人の割合が多かったのですが、近年は賃金が低いサービス産業へシフトしているからです。こうした産業構造の変化から、雇用者全体の賃金が下がっているのです。
次に、アベノミクスで雇用を大幅に回復したと宣伝していますが、実際に起こったことは”正社員が減り、非正規社員が増えた”ということだったのです。
正社員→非正規社員となれば、賃金が下落する流れは当然とも言えます。
つまり、一部の大企業で賃上げが行われたとしても、上記のような理由から、日本全体で見ると”賃上げはなかった”という結論になったのです。
このあたりは、野口悠紀雄氏や中原圭介氏が著書で述べていたことが、実際に統計データとして表れてきたものだと思っています。少しずつ、アベノミクスへの疑問が、大手新聞でも出始めてきたのかもしれません。
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