2015/11/25
12:23:27

日経ヴェリタスに、日本経済研究センターの小峰氏の寄稿した『あべこべな「新3本の矢」』という記事がありましたので、これを取り上げてみたいと思います。
小峰氏は「新3本の矢」に関して、方向性に異論はないが、数値目標には問題があると指摘しています。
今回の目標設定に関して、そもそも矢と表現するのは間違いで、的(まと)ではないか?と指摘するエコノミストもおり、これには思わず納得してしまいました。
それはさておき、GDP600兆円という数字も、どこからその数字が出てきたか分からないと述べています。そもそも数字が先にあって、それを達成するための政策はなく、「名目3%、実質2%、物価上昇率2%」という目標を達成できれば、600兆円くらいに行くのではないかという希望的観測から出てきたと思われます。
しかも、「アベノミクス第一弾の効果がどうだったのか?」という検証もないまま、600兆円と言っても、達成できないのは明白です。政府・日銀は、「なぜうまくいかなかったか?」ということを国民に説明するべきではないでしょうか。
次に、出生率1.8というのも問題があると指摘しています。
仮に、1.8を達成できたとしても、政府が目標とする1億人程度という人口を維持できませんし、この目標さえ実現不可能に近いと述べています。
また、実現には政策的に資源配分を重点的に行う必要があるとしており、これは予算を倍増するくらいの対応が必要だとしています。このような覚悟は政府にあるのだろうか?と疑問を呈しています。
さらに、介護離職ゼロは、よい目標だと思いますが、実現するための具体的なプランはありません。小峰氏は「できるだけ現在のサービスの質を維持しながら、給付を減らすことが求められている」と書いていますが、介護報酬を減らせば、現時点でさえ低い介護職員の給料が上がるとは思えず、離職は進むが新しい人材は来ないという状況が継続すると思われます。
個人的な意見ですが、生活習慣の改善(特に食生活)と運動の推奨で、そもそも病気自体を減らすという方向性を打ち出し、それによって医療・介護費用が減少するということにならない限り、国の財政も早晩行き詰まるだろうと思っています。
従来の考え方の延長線上では、問題の答えが出なくなってきているのです。
でもきっと・・・日本は変わることができないと思います。
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