2016/06/12
12:07:31

藤野英人氏の著書「ヤンキーの虎」を読んでみましたので、まとめを書いておこうと思います。副題に「地方経済の主役の交代」とありますように、地方に於けるジネスモデルについて書いたものです。
”ヤンキーの虎”とは、「地方を本拠地にしていて、地方でミニコングロマリット(様々な業種・業務に参入している企業体)化している、地方土着の企業。あるいは起業家」・・・というのが位置づけだと述べています。
地方でリスクを取って果敢に挑戦し、成功を収めている経営者のことで、彼らは地方であるからこそ勝てるビジネスモデルがあると分かっており、そこにリスクを取って参入しているというわけです。
ただし、東京のベンチャー企業のように、インターネットで新しいビジネスを展開し、世界を変えようという発想とはかけ離れたもので、シンプルで、でっかく儲けらそうなものに投資をしていくというビジネスモデルというわけです。
そのため、ヤンキーの虎たちは様々なビジネスを展開しているのです。
例えば、パチンコやラブホテル、ウェディングビジネス、携帯電話の販売ショップなど多角的に儲けているというのが特徴です。さらに、やってみて儲からないと分かって時点で、すぱっと止める身代わりの早さも彼らの特徴だというわけです。
われわれ東京の人間は、地方経済は衰退の一途だと思っています。
もちろん、人口も減り始めていますし、少子高齢化も急速に進んでおり、地方経済全体としての把握は間違っていません。また、地方ではリスクを取ってビジネスを拡大させようとする人が、都会に比べると遙かに少なく、高齢化が進んでいて、事業意欲が乏しいのも事実です。
一方、最近の消費者のニーズや新しいビジネスなどの情報を持っている人たちが少なく、ある程度の情報を持っている人たちが積極的にビジネスを展開していけば、比較的容易に競争に勝てる状態になっているというわけです。
地方のマーケット自体は縮小していますが、だからこそ地元でのんびり経営していた会社が次々と淘汰され、ヤンキーの虎たちがシェアを奪うことができるのです。
彼らの得意技は、「ミニタイムマシン経営」というものです。
タイムマシン経営とは、米国など海外で成功したビジネスモデルを国内に輸入する経営手法で、それを東京と地方で行うのがヤンキーの虎が最も得意とする「ミニタイムマシン経営」だとしています。
東京にしばしば訪れ情報収集し、東京で流行っているものや人気の出そうなものを探して、地元に持ち帰るのです。逆に言えば、自分の地元と東京しか見ていないのです。
現在そうした日の出の勢いの、ヤンキーの虎たちですが、2020年頃から転機を迎えそうだとしています。その理由は、人口減少で地方経済の縮小が大きくなってくるためと、団塊の世代が後期高齢者になってくるためだとしています。
2020〜2025年あたりまでは、ヤンキーの虎たちは順調に古い会社のシェアを食って、簡単に勢力を拡大していくとしています。しかし、それ以降は需要が急速に減少していきますので、ヤンキーの虎たちもやすやすと勝てなくなるのです。
ここで初めて、優秀な虎か、優秀でない虎か、ということが重要になってくるというわけです。ここからは、ヤンキーの虎がそれぞれ成長するのではなく、他の虎を食った虎はどんどん巨大化していくという展開になりそうだとのことです。
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