2016/10/04
12:01:57

安間 伸氏の著書「資産運用のカラクリ 2016 投資と税金編」を読みましたので、まとめを書いてみようと思います。この本は2003年に出版されたものを2016年の税制改正に合わせて改訂版としたものです。
初めに「投資にはデットとエクイティの2種類しかない」との本質論を展開しています。あらゆる投資商品は、エクイティとデットに分類されるとのことです。
エクイティを保有することは、会社のオーナーになることで、デットを保有することは、会社への金貸しになるということです。
次に税制として、「投資家にとって雑所得が最悪で、雑所得になる投資はしない方がよい」と断言しています。
似たような投資で「株式の分離課税」に含められる商品があればそちらを選び、源泉分離課税で終わる「利子所得」は避けるべきだともしています。
その中で預金(とくに外貨預金)が一番損だとも述べています。外貨預金は全力で回避するべき、最も不利な商品であると言及しています。
外貨預金のデメリットして、預金保険の対象外であり、両替手数料が割高なケースが多いこと、金利が低く、利息は利子所得として源泉課税され、どんな商品とも損益通算ができず、取り返すことができないことなどをあげています。
また、為替差益が雑所得、損失は他にプラスの雑所得があれば相殺できますが、それらの合計がマイナスでも他の所得を減らすことはできません。また、損失の繰り越しもできないのです。
一方、「オーバーパーを買うな!」、「利払い直後に買え!」といった債権の鉄則は、効力が弱まった(以前に比べて)ものの引き続き有効だともしています。
最後に、「申告不要制度を活用せよ」ともしています。
例として、今年の株式が4,000万の利益があって、昨年までの損失繰り越しが1,000万あったとします。
利益を出した口座が1つしかなければ、確定申告して損益通算し、約800万円の税金を600万[(4,000万-1,000万)×20%]に減らすしかありません。
しかし、損益通算で控除しきれなかった3,000万円は合計所得金額にプラスされるため、社会保険料などが上がります。
それを避けたいのであれば、申告不要制度を使うことになりますが、すると今度は損失繰り越し1,000万を使って今年の利益を減らすことができなくなり、200万円の税金が取り戻せないのです。
では、4,000万円の今年の利益が2つの特定口座(源泉あり)に3,000万円、1,000万円と分かれていたらどうでしょう?
その場合は、1,000万円の方を確定申告して、損失繰り越しと相殺し、200万円の税金を取り返すことができます。一方で、3,000万円の口座は申告不要制度を使って、600万円の税金を払いっぱなしにします。
こうすれば、合計所得金額が増えることのデメリットを避けながら、損益通算や損失繰り越しのメリットを得られるのです。賢い人は特定口座(源泉あり)を複数作り、それそれで利益や損失のコントロールをするというわけです。
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