2016/10/24
12:14:42

中原圭介氏の著書「経済予測入門」を読みましたので、まとめを書いておこうと思います。
日本の企業は、どこも経営戦略を見誤っていると指摘しています。
正月の雑誌や新聞などで大企業の経営者が株価予想などをしていましたが、2016年の株価予想で日経平均株価23,000円などと、トンチンカンな予想をしている人が多く、どこまでこの人たちは分かっていないのか?、不安を覚えたのも事実です。
また、そのような予想にもとづいて会社経営をしていますので、大きな失敗も繰り返しています。爆買いは続かないと予想ができたのに、大きな免税店を作った企業や、エコポイントで薄型TVが売れたために、今後もこのトレンドが継続すると判断し、工場を新設した電気産業などもそうした例です。
欧米企業は素早く意志決定をして、積極的に事業リスクを取ることで、高い収益率を手に入れようとしている一方、日本企業はなるべく経営リスクが高まらないよう検討を重ねて、「これで大丈夫だ」となってから投資をします。その結果、投資のタイミングが遅すぎ、かえってリスクが高まっているというわけです。
現在のように経済やビジネスのサイクルが非常に短く、かつ速くなってきている現在、この意志決定の遅さが企業にとっては致命傷にもなると指摘しています。
企業や経緯者が経営や投資で失敗する最大の原因は、経済の流れが見極められないということにあるのです。
それは何も企業だけに止まらず、日銀などにも言えます。日銀の金融政策や経済予測が非常に頼りないのも、黒田総裁自身がIMFの経済予測を信じていると公言していることからも分かると述べています。
日銀総裁が「原油の下落は想定外だった」と発言することは、「経済・市場の予測はIMF任せで、自分のあたまでは考えていない」と認めているようなもので、経済や市場のトレンドが転換したときにまったく当たらないIMFの予測によって、日本の金融政策の方向性が決められていること自体、日本の未来にとって非常に怖いとも言及しています。
それでは、今の経営者にとってどのような経済予測が求められているのか?ですが、経済のトレンドの継続性の予測、およびトレンドの転換点をしっかりと見極めることが求められていると述べています。
これらの2つの重要な予測をするうえで第一に考慮すべきは、世界全体や各国での「モノの需要と供給のバランス」で、代表的なモノとしては、自動車・住宅・原油・天然ガス・鉄鋼・エチレンで、これらの需給を注意深く見ていけば、経済の大きな流れを予測するのはさほど難しくないとも指摘しています。
そして、予測をするうえで第二、第三に考慮すべきは、各国の家計・企業の債務がどのように推移しているのか、世界全体で実体経済と金融経済のバランスに偏りが出ていないのかということだと述べています。
こうしたことを俯瞰して世界全体を見てみますと世界経済の低空飛行は避けられず、2017年〜2018年あたりに「右肩上がり」から「右肩下がり」への転換点が世界経済に訪れるのでは・・・と中原氏は予想しています。
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