2016/12/04
12:10:33

小黒一正氏の著書「預金封鎖に備えよ」を読みましたので、まとめを書いておこうと思います。表紙の裏に下記のようなことが書かれています。
『日本では第二次世界大戦後、「預金封鎖」「通貨切り替え」「財産税」などの国民資産を暴力的に収奪する政策が断行された。消費増税が延期され、財政破綻がいっそう現実味を帯びるいま、再びそのリスクが迫っている。マイナス金利政策を含む現在の異常な金融政策の失敗は、日本を”第2の敗戦”に陥れるかもしれない。』
このように小黒氏は日本の財政の現状および将来を、非常に深刻に捉えています。ちまたでよく言われている、「日銀が国債を全部買えば、国民負担ゼロで財政再建できる」といった論に対して、バランスシートを例に挙げながら、そうしたことはできないと否定しています。つまり、ノーフリーランチだというわけです。
また、IMFのチーフエコノミストであったオリヴィエ・ブランシャール教授に対する取材記事(2016.4)も紹介しています。
・日銀に対し、国家予算に直接マネーを投入する政治圧力がますます高まることとなり、そうなったときに、日本は突如としてデフレからインフレへと転換するリスクを冒すことになる。
・ある日、財務省から日銀に、「我々のことを考えてほしい。生きるか死ぬかの問題なのだ。ゼロ金利を維持してくれ」という電話がかかってきたとしても決して不思議ではない。
・最終的に高インフレへとつながる財政従属(フィスカル・ドミナンス)のリスクが存在することは確かだ。5年ないし10年以内にそうなったとしても私は驚かない。
さて、その時はいつか?ですが、(小黒氏が)消費税を100%に上げなければならない期限を計算した結果、2030年になったとのことです。
ただし、これはそれまで大丈夫だということではなく、その5年程度前には実際に大変な事態になっているとも想像できます。
そして、戦時中や戦後の例をあげ、「政府はときどき嘘をつくので注意が必要だ」とも注意喚起しています。
現在も「日本国債は国内で消費できているから安心だ」ということが言われていますが、開戦前後の1941年にも同じ論調が展開されていたのです。
しかしながら、政府が戦争のために積み上げた借金は、国民負担となったのです。
これも頭に入れておくべき事実だと思いました。
最後に、「資産防衛の手段はなにか?」ということにも少しふれています。
氏は資産防衛の決め手は「仮想通貨」ではないかとみているようです。
もはや「円」にこだわる必要もないとも述べています。
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