2017/03/14
12:41:16

ジリアン・テット氏の著書「サイロ・エフェクト」を読みましたので、まとめを記載しておこうと思います。
これは高度に複雑化した社会に対応するため、組織が専門家たちの縦割りの「サイロ」になり、その結果、変化に対応できなくなってしまったのです。その逆説を「サイロ・エフェクト」と表現しているとのことです。
本では「サイロ・エフェクト」の例を紹介しています。
我々にとっても一番わかりやすい例は、出井社長時のソニーです。出井氏はスイスのネスレ社の社外取締役になったときに、ネスレ社の事業運営がきわめてユニークであることに気がつき、ソニーにも導入したとのことです。
それは、巨大企業は単一の事業体ではなく、独立採算制の個別事業の集合体として経営する方が好ましいという考え方です。独立した事業ユニットを作ることで透明性や効率性を高め、責任の明確化が計れるという発想です。
専門性の高いサイロを作ることで少なくとも短期的には会社の効率化は進んだように思えたものの、ライバル会社だけでなく、社内の他の部門からも「身を守ろう」としてしまったのです。他の部門と斬新なアイデアを共有しなくなり、実験的なブレーンストーミングやすぐに利益を生まない長期投資も控えるようになってしまったというわけです。
そうした環境下で、コンシューマー・エレクトロニクス部門は「メモリースティック・ウォークマン」を、VAIOコンピューティング・グループは「VAIOミュージック・クリップ」を同時に開発していたのです。
両者は似たような製品で、顧客が「どちらを選択すればよいか?」迷うような選択肢を提供することになってしまったのです。このように縦割りが強く、同じ会社内でも情報が共有されないと、このように笑えない自体となるという例です。
そして、ソニー製品はアップルのiPodに負けてしまったのは周知の事実です。
上記のようにサイロがもたらす負の効果を紹介し、後半では実際にサイロを破壊して効果を上げた企業、事業体なども実例を挙げて紹介しています。
自分も考えさせられる本でした。細分化して、独立採算制にして、競争させれば全体としての売上も伸びるのか?と考えていましたが、まったく逆の結果でした。
いま、別の経営学の本を読んでいますが、情報やヒントが共有できないデメリットはかなり大きいようです。
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