2017/06/27
12:26:35

ジェームズ・リカーズ氏の著書「ドル消滅」を読みましたので、まとめを書いておこうと思います。まず、序文の部分で以下のように書かれています。
『今のところ、ドルと国際通貨制度は同義である。ドルが崩壊したら国際通貨制度も崩壊するだろう。崩壊しないはずがないのである。普通の市民や貯蓄者や年金生活者が、崩壊後の混乱の主な被害者になるだろう。ただし、こうした崩壊は通商や金融や銀行業の終焉を意味するわけではない。
未来の国際通貨制度は、ドルを基軸とするものにならないだろう。
中国、ロシア、産油国、その他の新興国が一体となって、アメリカの通貨覇権の終結と新しい本位制度の創設を要求するからだ。』
また、むすびでは以下のように書いています。
『ドルの崩壊は、3つの道のいずれかをたどることになるだろう。
1つは世界貨幣SDR(特別引き出し権)に進む道、2つ目は金本位制に復帰する道、そして3つ目は社会的混乱に至る道だ。
いずれの場合にも富をもっともうまく保全できる資産配分戦略がある。
グローバル準備通貨としてドルの代わりにSDRを使う動きはすでに進行中で、IMFは10カ年移行計画を発表しており、アメリカは非公式にそれを支持している。
やがてSDRバスケットにおけるドルの比重は引き下げられ、人民元がその空白を埋めるようにになるだろう。』
仮に、次の金融危機が来た場合には、FRBの資源は2008年に全面的な崩壊を防ぐのがやっとで、さらに大規模な崩壊が起こったらFRBのバランスシートは押しつぶされると予想するべきだとしています。FRBは相対的に穏やかな時期に3兆ドル以上の貨幣を増刷してきたため、さらに3兆ドル増刷することで対応するのは政治的に実行不可能だろうというわけです。
「世界を再び流動性で満たす仕事はIMFがになうことになるだろう。公的機関の中でバランスシートが傷んでいないのはIMFだけだからだ。IMFはSDRの大量発行によって、危機にうまく対処し、この通貨オペレーションは基軸通貨としてのドル役割に事実上、終止符を打つだろう」とも述べています。
つまり、次の巨大に金融危機にFRBが対応できず、IMFが対応することでドルの覇権が終了すると予想しているわけです。これに対応するためには、ドル建て資産を減じて、現物資産などに分散しておくことも重要だと思われます。
一方、中国についても言及しています。
『理財商品を発行している銀行は、不良債権と満期のずれという問題に、新しい理財商品を発行することで対処している。新しい理財商品から得た資金は、古い理財商品を満期に償還できるよう、古い理財商品の不良債権を水増し価格で買うために使われる。これは巨大な規模のポンジ・スキームだ。
各種推定によると、2007年には700件しかなかった理財商品プログラムが、2013年には2万件に増大していた。
ポンジ・スキームは崩壊を免れないもので、影の銀行システムによってあおられた中国の不動産・インフラ・バブルも例外ではない。特定の借り換えスキームの失敗から、もしくは特定のプロジェクトに関連した汚職の発覚から、崩壊が始まることも考えられる。
崩壊の厳密なきっかけは重要ではない。なぜならそれは確実に起こり、いったん始まったら、政府により制御か救済がないかぎり必ず大惨事につながるからだ。』
『中国の成長は終わっていないものの、衰退に向かっている。おまけに、その影響は中国だけにとどまらず、世界中に波及する。これは、アメリカや日本やヨーロッパの成長がすでに停滞もしくは衰退している時点で起こることになる。
1930年代のように、不況は性怪獣に広がり、隠れる場所はなくなるだろう。』
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