2014/12/05
12:29:26
日経ヴェリタス2014.11.30号に『日銀 短期決戦の危うさ』という東短リサーチの加藤氏が寄稿した記事がありましたので、これを取り上げてみたいと思います。
加藤氏は記事で『日銀にとっての誤算は、日銀が「早期にインフレ率を押し上げる」といえば言うほど、消費者が警戒する現実だろう』と書いていますが、所得が増えそうもないのに物価だけが上昇となれば、「今後は物価高だから今のうちに買おう」という人よりも、「給料も増えそうもないから、今から節約しよう」と考えるのは当然の庶民感覚です。
仮に、こうした庶民感覚が理解できないとすれば、”日銀総裁としての資格があるのか?”とさえ疑いたくもなります。
しかも、7-9月期のGDPに関しても、民間エコノミストも予想を外し”ダメさ加減”が分かりましたが、日銀はもっとひどく、10月末の参院財政金融委員会で黒田氏は、「基調的には緩やかな回復を続けている」と的外れな答弁をしています。
ところで、(自分としては)10月末の追加緩和で越えてはいけない線を越えてしまったという感を持っています。
加藤氏も「長期的な観点でも量的・質的緩和には危うさがある」、「今のペースで日銀が国債を買い続けると、2年後には発行額の4割を日銀が保有する。これは、中央銀行が財政赤字を穴埋めする”マネタイゼーション”に突き進んでいるように見える」と書いています。
また、「サプライズを伴う政策変更を続けると出口政策の実行段階で市場は激しい不安にかられる恐れがある」、「ETFを購入して株価を操作するといった日銀のような主要中央銀行はなく、日銀が買い入れを停止したら、株価の下落で評価損を抱え、これは最終的には納税者負担となる」と警告しています。
以前にも言及しましたが、「デフレだから景気が悪い」というそもそもの前提が間違っており、「景気が悪いからデフレになった」というのが正確です。
このような間違った前提で論理を展開していきますから、「デフレでなくなれば、景気は回復する」という庶民感覚とはかけ離れたものになってしまうのです。
となれば、一番最初の第一の矢は「成長戦略」としなければならないはずです。
これを、第一の矢を「金融政策(金融緩和)」としたところにアベノミクスの根本的な間違いがあると思っています。
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予行演習はそろそろ終わりで実地作戦でしょうかね。