2015/07/08
12:05:08

中原圭介氏の著書「格差大国アメリカを追う 日本のゆくえ」を読みましたので、まとめを書いてみようと思います。とくに、”おわりに”の部分が本書を要約していると思われましたので、要約して引用します。
『アメリカでは長年のインフレ政策と行き過ぎた株主資本主義の蔓延により、中流層が疲弊、富裕層と貧困・準貧困層の二極化が進んでいます。日本の状況はまだアメリカほどには悪化していませんが、アメリカ型の新自由主義を信奉し、インフレ政策と株主への利益還元を強制するアベノミクスにより、アメリカ後追いの動きを強めています。
歴史上、中間層が厚みを増す国は栄え、中間層が没落する国は衰えます。古代ギリシャもローマ帝国も歴代の中国の王朝も、中間層の疲弊と没落により滅んでいったのです。同じことが今、私たちの時代にも繰り返されようとしています。
リーマンショック後の数年を除いて、常に経済成長を続けてきたというアメリカを数字だけでなく、人々の生活にまで分け入って注意深く見ると、一般庶民は生活に関しては、アメリカより日本の方がずっと安定し恵まれれていると感じています。
私たちがメディアで見るアメリカ経済とは、ウォールストリートの都合の良いように解釈された経済であり、大多数の国民を犠牲にして成り立ってきた富裕層や大企業中心の経済なのです。過去40年以上にわたって、所得階層の2/3で実質所得の増加がほとんどみれず、中間層が急速に没落しつつあるアメリカの経済の実態を知れば、アメリカこそ「失われた40年」という表現がふさわしいと言えるでしょう。
中流層が生産活動と国の政治に参画し、きちんと生活水準を維持できているかどうかが、一国の盛衰を決めているといっても過言ではありません。
だからこそ政治家は、他の国がどうであろうと、断固として中流の人々の生活を守り、格差による二極化を防がなくてはならないのです。』
中原氏は本書の中で、過去の国家の衰退が中間層の疲弊とともに起こったことを歴史的に検証しています。そして、現在のアメリカがそうした状況であること、また日本もアメリカと同じ方向性の政策を推し進め、中間層が貧困層に落ちつつあることを指摘しています。非常に憂慮するべき事態となりつつあるようです。
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