2018/05/04
10:28:55

中原圭介氏の著書『日本の国難-2020年からの賃金・雇用・企業』を読みましたので、まとめを書いておきたいと思います。本の中で、2020年以降の賃金・雇用・企業などは大変厳しい状況になるのでは・・と述べています。
『2020年前後までの世界経済を見通ししたときに、楽観的な見通しや明るい展望を決して持つことができません。今の世界経済に対する見通しは2006〜2007年のときに近い明るい雰囲気に包まれていて、本質的なリスクを無視するあまり、手痛いしっぺ返しを受けるだろうと感じ取っています。』
『日本経済の低迷が「失われた20年」と呼ばれるまでに長期化した最大の理由は、不良債権の膨張そのものではなく、政府も銀行も企業も問題の解決を先送りし、無駄に時間を浪費したということなのです。三者が揃いも揃って自らの責任を免れるために痛みを伴う解決に逃げ腰となれば、金融システム危機が起こるのも仕方なかったことですし、その危機から脱出するのにそれ相応の年月がかかったのも、当然の帰結であるといえるでしょう。
翻って今、日本経済に新たな停滞をもたらしている主因は、人口減少を引き起こす少子高齢化、とりわけ、少子化をおいて他にありません。』
不良債権問題だけではなく、少子化問題もだいぶ前から国会でも問題になっていたにも関わらず、問題の先送りをしてきたために今日のような状況になったのです。とくに日本人は、次の選択肢がなくなるまで変わろうとしないのです。
では、日本経済はアベノミクスで好転するのでしょうか?
安倍首相は2018年1月の施政方針演説で、生産性向上を実現すれば日本社会の持続性も可能だと述べていますが、この点に関しても言及しています。
『生産性を上げれば経済規模を保つことができ、税収も減らないというこの考え方は、あくまで2000年以前に通用したものであり、2000年以降のイノベーションの質が過去のケースとは異なる次元にあることを考えると、むしろ国民の生活水準の悪化という副作用をもたらす可能性のほうが高いのではないかと思われます。』
『私が改めて強調しておきたいのは、AIやロボットによる効率化は世界的に失業者を増加傾向に転じさせたうえで、格差をいっそう助長する主因になる可能性が高いということです。おそらく2020年代のうちには、企業の生産性や株価が今よりも大幅に上がっている一方で、雇用情勢が悪化して不安定な社会が到来することになっているでしょう。』
『21世紀に入って起こっているイノベーション(第4次産業革命)は、既存の産業を次々と駆逐しながら、雇用も破壊していくという好ましくない性格を持っています。経済学の教科書通りに、「生産性を高めることによって、労働者の賃金が上がっていく」という理論は、もはや成り立たなくなっているのです。』
日本を代表するトヨタ自動車なども、新たなライバルは自動車会社だけではなく、グーグルなど、いままで自動車とはまったく関係がない職種の企業とも競争を迫られていくのです。こうなりますと絶対安泰な企業はないと思われます。
『私たちが本当に豊かになったと感じるのは、「可処分所得」が増加するか、実質賃金が上昇するか、いずれかのケースである」と述べましたが、ここまでの内容を振り返ってみると、10年後にしても20年後にしても、可処分所得が増加していく展開はまったくといっていいほど期待できないということがわかってもらえたと思います。』
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